◎悟道者の精神風景
柳宗元の漢詩。
『千山鳥飛絶
万逕人蹤滅
孤舟蓑笠翁
独釣寒江雪
【訓読】
千山鳥飛ぶこと絶え、
万逕人の蹤滅ゆ
孤舟蓑笠の翁
独り釣る寒江の雪』
風景は、寒く、孤独感がつのる。このシーンは山水画でよく見るモチーフ。柳宗元は、高級役人ながら左遷されたわびしさをこの孤舟蓑笠の翁に託したなどという俗な解釈もあるがそうではあるまい。
さて雪舟の秋冬山水図の下の方にとても小さく老翁が描かれており、全体はとても蕭条とした風景である。
なぜ彼らはこのように、人間を矮小、孤独に置き、世間的には気持ちのよくない図柄を好んで描くのか、全く謎だった。
でも最近なら少しわかる。悟った者は絶対的に孤独であり、その歩む世界はあらゆるものが見知らない、未知に満ち満ちている。かつその世界には、永遠が大きく横たわっている。
だから、彼らがその世界を素直に描くとすれば、この図柄しかないのだ。
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(秋冬山水図部分/雪舟)
柳宗元の漢詩。
『千山鳥飛絶
万逕人蹤滅
孤舟蓑笠翁
独釣寒江雪
【訓読】
千山鳥飛ぶこと絶え、
万逕人の蹤滅ゆ
孤舟蓑笠の翁
独り釣る寒江の雪』
風景は、寒く、孤独感がつのる。このシーンは山水画でよく見るモチーフ。柳宗元は、高級役人ながら左遷されたわびしさをこの孤舟蓑笠の翁に託したなどという俗な解釈もあるがそうではあるまい。
さて雪舟の秋冬山水図の下の方にとても小さく老翁が描かれており、全体はとても蕭条とした風景である。
なぜ彼らはこのように、人間を矮小、孤独に置き、世間的には気持ちのよくない図柄を好んで描くのか、全く謎だった。
でも最近なら少しわかる。悟った者は絶対的に孤独であり、その歩む世界はあらゆるものが見知らない、未知に満ち満ちている。かつその世界には、永遠が大きく横たわっている。
だから、彼らがその世界を素直に描くとすれば、この図柄しかないのだ。

(秋冬山水図部分/雪舟)