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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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空転空

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◎絶対無の戯れ

ダンテス・ダイジの公刊された三冊のうち、「ニルヴァーナのプロセスとテクニック」は、理論編。「アメジストタブレット・プロローグ」は予言編にして理論編。「絶対無の戯れ」は、人間とリアリティを韻文にしたもの。

中でも「絶対無の戯れ」は、覚者の生活実感、現実感というものを知るには好適な一冊となっている。最初の方の長編詩「おれは神」は、神人の現実感覚の描写なのだが、どこか禅僧趙州の十二時の歌を思わせるところがある。

そこには超能力も霊能力もなく、冷厳な現実と「おれは神」だけがゐる。

長いのでブログやtwitterでは分割して上げるしかないだろう。

さて、星の砂で知られる竹富島のトイレで首を吊った筋ジストロフィーの青年は幽霊となってダンテス・ダイジを訪問し、一緒に死んでくれと頼んできた。ダンテス・ダイジは、躊躇なく一緒に首を吊って上げた。

この話は、何も知らなかった(今でも知らないが)20代の自分にはいろいろな意味で衝撃だった。「そういうものなのか」、と。

『空転空

そこではすでに虚しさも問題にならない
僕の筋ジストロフィーの友人は
便所の中で首をつって死んだ
彼が闇しか見なかったとか
生きがいがなかったとか
推測しても始まらない

デイゴの樹木が輝くような
真紅の花をつけ
小枝の葉の一枚が
虫に食われて枯れた

その太い幹は相変わらず
大地に根をはって生き続け
沖縄の太陽が
不思議に燃え出す季節になった』
(絶対無の戯れ/ダンテス・ダイジP99から引用)

空は転じて空となるとは、自殺した筋ジストロフィーの友人の死であり、一緒に死んだダンテス・ダイジの無私の姿であって、亜熱帯の沖縄の自然の旺盛な四季の転変である。世界は必ずしも人間の都合など考えないものだが、石ころの心から愛が流れ出すということがある。

絶対無の戯れにはもう一つテーマが置かれていて、人生への取り組みの真剣さがあるレベルに達することを求めている。

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