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長く読めなかった老子狂言-2

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◎何も知らないうちが花なのだ

ダンテス・ダイジの未公刊の詩集『老子狂言』の中に、長く読めなかった詩が二篇ある。その二。

『すべてを知り尽くす

この世とあの世―――
存在と絶対無―――
生と死の秘密を、
すべて知る尽くすことほど、(←原稿のまま)
大きなわざわいはない。

何も知らないうちが花なのだ。
それでも、
花はかれ果て、
実になろうと欲する。

余りの苦痛にもかかわらず
花は散って、
実を結ぼうとする。

私は、なぜそうなっていくのか知らない。』
(ダンテス・ダイジ/老子狂言から引用)

大悟した後に彼の人生で出会うすべての人物の顔を事前に見たほどの人物が、
すべて知り尽くすことほど、大きなわざわいはない。』と言ってみせる。

人間や社会や世界の最も醜悪な部分をも知ることほど気が滅入るものはないから、ロマンも叙情もへったくれもなくなる。

至福を知るあるいは窮極を知る智慧(般若波羅蜜多)とは、そのような不愉快、面白からざることを知ることという反面がある。そういう実もふたもないことは、冥想修行者のやる気を削ぐのであまり言わないのだが、そういうことなのだろう。

リアリズムとは時に露悪だが、自分自身なる神を知るということはそういう面もなければ、悪魔の誘惑を退けられまい。

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