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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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NHKドラマ正直不動産の映す現実の深刻さ

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◎起業や投資は儲かる?合法と違法の説明のはざま

正直不動産の山Pは、泉里香さんへの告白シーンで、結婚する気がなく肉体目当てであることを自白し、大きく張り倒された。泉里香さんは、「彼氏は馬鹿正直でない方がよい」と言っていたが、正直に言えば相手が大きく傷つく場合は、言わなかったりほのめかしたり、善言美辞のオブラートということはあるものだ。

商売でも契約でも人間関係でも、適宜デメリットを言わずにメリットだけを言うのは、知的に進化した現代人にとって常道となった。合法だが違法ではない、などと思って。

そうした説明の最たるものを二つ挙げると、その一つは若者はどんどん起業しましょうというもの。これは経験的に起業の9割は失敗するものだという常識が隠されている。ベテランの起業の自営の人は皆知っているのだろうが、中年以下の人は意外に知らないものだと知って驚いた。起業失敗するとその始末は結構大変なものでもある。

もう一つは政府の貯蓄をやめて投資推奨。これはIDECOなど政策的な補完がどんどんされて、今更こんなことを言うのもどうかと思う人も多いのかもしれないが、投資は半数が損して半数が儲かる仕組みのゼロサム。投資して儲かるというのは、半数の人は損しますということ。

さらに大雑把に言えば、日本株はバブル時のピーク1989年12月29日の日経平均株価、史上最高値、38,915円を以後32年間一度も超えたことはないので、日本株投資家は全体としては損をしていた(2022年6月8日日経平均28,234円くらい)。

一方NYダウでいえば、1989年12月29日2,753ドルだったのが、今は32,910ドルくらい。NYダウ全体でいえば32年間ほぼ全員が儲かったのだ。こうした市場なら米国人は安心して大事な大事な退職金運用もできようというもの。

最近は、制度的にショック・アブソーバーというのがあって、1929年の大暴落のように一日で全株が三分の一の価格に下落するということはないが、リーマンにしてもアルケゴスにしても市場全体に影響を与える事件は常に当局規制のない部分で起こる。

市場全体で動く金の規模が大きくなれば皆もうかるので、それは過去発展途上国の経済成長だったり戦争だったりしたが、それはいわば実需の部分であり、市場全体で動く金は実需以外の投機・運用資金の方がはるかに大きい。それが現代。またレバレッジの大きい投資が恐慌や大暴落の引き金を引くのは歴史の通り相場。その時、金で滅ぶ時代が現出する。

それを待つまでもなく、韓国タイを含め小国の通貨危機というのは時々起きて、当該国の民衆の投資貯蓄を根こそぎにしてきた。ハイパーインフレは、敗戦直後の日本や1980年代の末のブラジル(年率2千パーセント)で起きたが、日本ではドッジライン、新円切り替え、ブラジルでは預金封鎖などで収束したが、いずれも庶民の金融資産の切り捨て政策だった。

岸田首相が掲げた「資産所得倍増計画」は、一朝一夕に出てきたものではないが、すでに貧困化した日本人を更に貧困化させるリスクを増大させるように見える。
確かに1980年代までは、株で金持ちになった人は多かった。だがそれ以後は、そのような人は多かったのか少なかったのか。

日本人は、いつから額に汗せず金を儲けることをよしとする気風になったのか。
その気風が、本気になることを忌避し、のんべんだらりな、楽ばかりして、悪い意味での周囲に流される子羊子豚の日本人を多く作ってきたのだろう。

至福千年、みろくの世、神主主義の時代は、万人が悟らねばならないが、それは日々本気の人だけが入る狭き門だが、門の数だけは8万4千(8万4千法門)と多い。本気とは受け身でないということでもある。

※投資はゼロサム。楽して他人のものを奪おうと考えるのは地獄のなりわいではある。

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