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女性哲学者ヒュパティアの惨殺

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◎キリスト教徒によるアレクサンドリア図書館の破壊

2009年のスペイン映画「アレクサンドリア」は、5世紀にアレクサンドリアで活躍した新プラトン主義哲学の天文学者・数学者であったヒュパティアの物語。彼女を天文学者、数学者の側面だけで見ると誤解しがちだが、この映画でも彼女が無神論であると烙印を押していた。

新プラトン主義とは、要するにプロティノス(3世紀)の系列であり、プロティノスを単なるギリシア哲学者と見ると見誤る。プロティノスは、その言説からクンダリーニ・ヨーガ型の冥想を経た人物であることがわかるが、彼女にもそうした冥想修行は継承されていたはずであり、その伝でいけば、「無神論」というレッテルは当たらない。

ヒュパティアの言う「考える」とは、ある冥想手法を前提とした「考える」であったように想像する。

当時は、キリスト教のギリシア教父オリゲネスとプロティノスの交流のように、自由に異教徒間で教義と体験の点検、検討、研究がなされていたはずだし、それらしきシーンも出てくる。

映画では国教となったキリスト教徒がヒュパティアを集団石打ちで惨殺するのだが、史実ではもっと残酷で、ヒュパティアを馬車から引きずりおろし、教会に連れ込んで、彼女を裸にして、カキの貝殻で生きたまま彼女の肉を骨から削ぎ落として殺害したという。惨殺されるのは、初期キリスト教徒の定番であったが、キリスト教徒はわずか4世紀後に、その因果を他宗派に向けたわけだ。

ヒュパティアの無惨な死は、アレクサンドリアから多くの学者たちが亡命してしまうきっかけともなり、アトランティスの叡智を収めたアレクサンドリア図書館がキリスト教徒の手によって破壊されたのは、後の近代西欧文明の世界支配の予兆だったといえよう。

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