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ヨーロッパの身分の断絶

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◎キリスト教が形成した社会

『肉食の思想(中公文庫) ヨーロッパ精神の再発見 鯖田 豊之/著 中央公論新社』のp98に、15世紀以降のことだろうと思われるヨーロッパ社会の階層形成模型図というのが出ている。これは、おそらく著者オリジナルのものなのだろうが、これを見るといろいろなことが、はたと手を打って思い当たるような図である。

これによると、ヨーロッパ社会の最上層から下に向かって、
1.僧侶
2.貴族
3.市民
4.農民
5.ユダヤ人
6.非ヨーロッパ人
7.動物

アラブ人とかアフリカ人とか中国人、インド人、日本人は、ユダヤ人より下であり、動物よりは上。これに対し、江戸時代は士農工商といえども実質は士と農工商と二分割だった大雑把さに比べると、ヨーロッパは厳しい横割り階層社会だった。

さらにヨーロッパは、近代になって、社会制度としてこうした階層区分がなくなった後も、こうした階層意識身分意識が抜けない。それは、イギリス貴族数の増加にも見られ、1830年頃には400家だったのが、700家にも増えていることからも察せられる。

ヨーロッパは、キリスト教を社会の頂点に置く厳しい横割り社会であるからこそ、無神論の疑似ユートピアとしての共産主義社会が出てきたのは、歴史の必然だったかもしれない。

今かの地は、英国とフランスのEU離脱の可能性に揺れているが、階層分断意識の厳しさは、個人における意固地さにも通じるところであり、欧州人の共通の気質としてわりと指摘されているところである。

そして中東からの難民流入は、今の階層意識のバックボーンであるキリスト教を脅かすものであるからこそ、深刻な問題なのだろうと思う。そしてそのことは表立って議論することはできない。

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