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「宮廷の諍い女」で中国を思う

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◎美しき中国バブル

「宮廷の諍い女」を見る楽しみは、まずその華麗なファッションである。皇后と沢山の側室たちは、いつも満州風の髪飾りで満艦飾であり、その衣服は豪華な絹であり、その中に春夏秋冬の四季のバリエーションがある。冬には毛皮も登場する。

纏足していなかったりするが(当然だが)、靴も布靴で宝石や香をあしらったりして、流石の伝統工芸を見せてくれる。

アクセサリーは金銀もさることながら、玉や翡翠のいいのが珍重されており、いかにも中国風の趣向で面白い。

舞台は北京紫禁城。撮影は紫禁城のコピーがある横店で行われたのだろうが、多くの宦官が赤い陣笠みたいなのをかぶって、へこへこ仕えるのも、いかにも宮廷風らしくて結構である。

大正時代までは、日本人は中国に礼節を学びに行ったりしたものだが、この「宮廷の諍い女」では、父母に孝、長上を敬う、主君に忠節などの礼節が生きていた中国を知ることができる。共産中国になってからは、そうした風俗としての美風を完全に破壊してしまったのだから。

それとチベット密教信仰。宮廷内にラマ教寺院があるみたいで、宮中の仏教行事シーンも出て来る。側室などが菩薩に家族の安泰を願掛けしたりしている。共産中国ではあれだけ、チベット密教を抑圧し、文化大革命で北京の雍和宮が破壊されなかったのは周恩来の命令があったからだなどという厳しい状況を考えると、よくチベット密教崇拝シーンを入れたものだと思う。

共産主義思想からいえば、皇帝一族というのは、階級敵のトップであり、人民が打倒すべき最大のものだったはずだが、中国ドラマもこのアンチ共産主義みたいなドラマ(反革命思想???)がトップドラマになるほどに思想の締め付けが緩んだということだろう。
これを以って、中国の共産主義支配は自壊が近い徴候とみる。

おまけに、この「宮廷の諍い女」は、台湾では神ドラマと賞賛されている。

残念ながら平日の17時台という最も人がテレビを見ない時間帯に放映されているので、いつも録画して見ざるを得ません。

さて中国は、過去10年まぎれもなくバブルであった。バブルの時代は後から見ると文化的にちゃんとした書物が、その旺盛な時代の経済力でもって、多く排出されるものだと日本の先例を見ても思う。

私は日本の人文関係の本を読むことが多いが、肝心な書物は大概1990年代前半までに出されていることが多く、2000年代に入ってからは、大学の数は1.5倍に増えたのかもしれないが、人文科学系で、これぞと感心する本は比率としては少ないように思う。勿論背景には出版不況もあり、町の本屋がどんどんなくなっていったこともあり、個人所得の実質減により本を買わなくなってきたこともある。

閑話休題、「宮廷の諍い女」という素晴らしいドラマは、とにもかくにも中国バブルが生んだ美しい作品の一つとして記憶されるだろう。







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