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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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脱出か今ここか

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◎ユダヤ人の脱出(エクソダス)

ある日ラビ・トケイヤーがユダヤ学者箱崎総一にこんなことを言った。

『考えてもみてくれたまえ。ローマ時代からユダヤ民族はその故郷を追放されて生き続けてきた。そして数千年ものあいだ民族としての主体性を失わずに存在し続けてきたのだ。この長い期間を通して、ユダヤ民族はあらゆる土地で迫害を受けてきた。

たとえばヨーロッパのある都市のゲットーでユダヤ民族の集団虐殺事件が発生したとする。恐らくその大部分は殺されてしまうが、そのなかの最も優秀で状況判断の正しい何人かのユダヤ人は脱出に成功することになるだろう。

事実歴史はそのことを証明してくれている。数千年もの期間を通じて絶えず虐殺・迫害という淘汰を受け続けてきた場合、その民族がいかに優秀な分子だけを後世に残す結果になるか想像もつかないだろう。

ラビ・トケイヤーの言葉には冷酷な歴史的真実がどっしりとした重みで含まれている。ラビはさらに言葉を続けて言った。
“だからユダヤ人たちの心理には常に脱出という行為に対する偏執的な傾向が認められる”』
(カバラ ユダヤ神秘思想の系譜/箱崎総一P48−49から引用)

まず全員を助けようという発想がないのは怖い。そこは仏教なんかとは違う。現代人が普通に直面する心的特徴は『今ここに、居られない』というものであって、そういう人たちに脱出をもちかければ簡単に乗ってきそうな気がする。その意味でこの世での脱出というのには、罠があるように思う。

現代人のテーマは、“今ここ”に直面することであって、脱出ではないからだ。

しかし中国下層民よりも更に厳しい歴史を経てきたユダヤ人にとって“脱出”というのは問答無用のテーマなのだろう。だからといってこの世界からの脱出なんてことを考えているのであれば、これまた怖いことだと思う。

蛇足だがクリティアスによれば、世界的大洪水では、人間のさかしらな思惑とは裏腹に無学で凡庸な人間ばかり生き残ったとされている評価もある。







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