◎世界中の生きている者も死んだ者も彼のために泣く
北欧神話エッダで、不死を謳歌するバルドル神をアース神たちが、その不死を試すために弓で射たり剣で切りつけたり石を投げつけたりする遊びを行っていた。何をやってもバルドル神は、傷一つ負わなかった。
そこでいたづら者のロキが盲人のヘズをけしかけて、弱点のヤドリギの矢でバルドル神を射て殺した。
さてバルドルの弟のヘルモーズが、死の国に九日間を費やして馬を進め、死の国の女王ヘルにバルドル神を返してくれるよう要請した。
するとヘルは、世界中の生きている者も死んだ者も彼のために泣くならば、彼を返そうと言う。
やがてアース神たちからこれを聞いて、人も動物も大地も石も木も金属も泣いた。
ところが洞窟に棲むセックという女巨人だけが泣かなかったので、結局バルドルは生き返ることはなかった。
(『スノリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』から)
バルドル神は、人間の正の部分、明の部分のシンボル。バルドル神は生命を謳歌する時期はあったが、やがて翳りを見せ、死を迎えた。
結局、世界全体が泣ききって復活させるシナリオとこの話のようにこの世に未練を残して復活しないシナリオとがあったはずだが、『スノリのエッダ』では、死の不可逆なること、厳正苛酷であることを強調した。
バルドルを復活させるという目的を持った冥想は結局成功せず、今度こそ世界は本当に、自分の無力に絶望し泣かねばならなかったのだ。その時に本当の復活が起こるのだと思う。
北欧神話エッダで、不死を謳歌するバルドル神をアース神たちが、その不死を試すために弓で射たり剣で切りつけたり石を投げつけたりする遊びを行っていた。何をやってもバルドル神は、傷一つ負わなかった。
そこでいたづら者のロキが盲人のヘズをけしかけて、弱点のヤドリギの矢でバルドル神を射て殺した。
さてバルドルの弟のヘルモーズが、死の国に九日間を費やして馬を進め、死の国の女王ヘルにバルドル神を返してくれるよう要請した。
するとヘルは、世界中の生きている者も死んだ者も彼のために泣くならば、彼を返そうと言う。
やがてアース神たちからこれを聞いて、人も動物も大地も石も木も金属も泣いた。
ところが洞窟に棲むセックという女巨人だけが泣かなかったので、結局バルドルは生き返ることはなかった。
(『スノリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』から)
バルドル神は、人間の正の部分、明の部分のシンボル。バルドル神は生命を謳歌する時期はあったが、やがて翳りを見せ、死を迎えた。
結局、世界全体が泣ききって復活させるシナリオとこの話のようにこの世に未練を残して復活しないシナリオとがあったはずだが、『スノリのエッダ』では、死の不可逆なること、厳正苛酷であることを強調した。
バルドルを復活させるという目的を持った冥想は結局成功せず、今度こそ世界は本当に、自分の無力に絶望し泣かねばならなかったのだ。その時に本当の復活が起こるのだと思う。