◎右手を下に、左手を上に
脚の組み方の左右もクンダリーニ・ヨーガと只管打坐では違う。また心理状態が坐相を決めるという側面もある
振魂の掌の左右は、右が上か左が上か迷っていたが、左が上ということがわかった。これは神秘生理学だが、おろそかにはできない。
植芝盛平の直弟子の菅沼守人のインタビュー。
『菅沼 あれは高名な画家の方が描いたのですが、スケッチではなく、想像して描いたもので、大先生が力を入れた時をイメージした、一種の象徴画だそうですね。お風呂で身体に触れた時も筋肉はかなり柔らかくて、稽古の前の柔軟運動でも大先生も門人と一緒に三十分位かけて丁寧に身体を伸ばしていましたね。とても八十過ぎの老人とは思えないほど身体が柔らかくて、俗に言う船漕ぎ運動、本来は“天之鳥船”と言うのですが、これなども大変柔軟な動きでした。
――船漕ぎ運動は合気道独特の運動ですね。実際にはどういった意味合いなのでしょう。
菅沼 船を漕ぐのは、目的地に向かって船を進めるためですが、大先生はその目的をよく和と統 一の世界、つまり争いの無い世界と言われてました。当時も今も暴力や戦争が絶えませんが「合気道の修行を通して、世界中の人々が手を結び合える世界が来るように、皆さんで手伝って下さい。その目的を目指して、皆で船を漕ぎましょう」という意味だろうと私は思います。
――同時に準備体操でもあるのでしょうか。
菅沼 そうですね。合気道で求められる統一体、つまり手、腰、脚を連動させることができる身体を作るのにも優れた技法だと思います。
――開祖から具体的な説明などはあったのでしょうか。
菅沼 手を開いた状態から、しっかりと握って後ろへ引く。それと反対に、握って突いて開いて引く動きもあるんです。それと必ず行ったのが振魂といって、両手を臍の前で握り合わせ振るもので、 この時は右手を下に、左手を上にするのですが、右手は言霊で身体、左手は霊を表すとされていま す。「土台(身体)の上に霊を載せる」と言われてましたね。
――船漕ぎ運動と振魂はセットになっていたのでしょうか?
菅沼 そうですね。大先生は船漕ぎ運動三回と振魂を1セットとして3セット行うのが常でした。』
(開祖の横顔 14人の直弟子が語る合気道創始者・植芝盛平の言葉と姿 月刊秘伝編集部/編P27-28から引用)
これによると、まず柔軟体操が30分。そして船漕ぎ運動(天之鳥船)三回と振魂を1セットとして3セットが通常メニューだろう。天の鳥船と振魂をどの位の時間やったのかはわからない。だが、二つの禊だけに絞っていることで、いかにこの二つが精選された運動なのかわかる。
出口王仁三郎も言っているように初心者は、天の鳥船だけ何時間、振魂だけ何時間もやってみることが必要なのだろう。それだけできる体力が一朝一夕にはつかないのだろうが。それにしても人間は、肉体あってなんぼである。肉体は土台、霊で活動。霊主体従。
脚の組み方の左右もクンダリーニ・ヨーガと只管打坐では違う。また心理状態が坐相を決めるという側面もある
振魂の掌の左右は、右が上か左が上か迷っていたが、左が上ということがわかった。これは神秘生理学だが、おろそかにはできない。
植芝盛平の直弟子の菅沼守人のインタビュー。
『菅沼 あれは高名な画家の方が描いたのですが、スケッチではなく、想像して描いたもので、大先生が力を入れた時をイメージした、一種の象徴画だそうですね。お風呂で身体に触れた時も筋肉はかなり柔らかくて、稽古の前の柔軟運動でも大先生も門人と一緒に三十分位かけて丁寧に身体を伸ばしていましたね。とても八十過ぎの老人とは思えないほど身体が柔らかくて、俗に言う船漕ぎ運動、本来は“天之鳥船”と言うのですが、これなども大変柔軟な動きでした。
――船漕ぎ運動は合気道独特の運動ですね。実際にはどういった意味合いなのでしょう。
菅沼 船を漕ぐのは、目的地に向かって船を進めるためですが、大先生はその目的をよく和と統 一の世界、つまり争いの無い世界と言われてました。当時も今も暴力や戦争が絶えませんが「合気道の修行を通して、世界中の人々が手を結び合える世界が来るように、皆さんで手伝って下さい。その目的を目指して、皆で船を漕ぎましょう」という意味だろうと私は思います。
――同時に準備体操でもあるのでしょうか。
菅沼 そうですね。合気道で求められる統一体、つまり手、腰、脚を連動させることができる身体を作るのにも優れた技法だと思います。
――開祖から具体的な説明などはあったのでしょうか。
菅沼 手を開いた状態から、しっかりと握って後ろへ引く。それと反対に、握って突いて開いて引く動きもあるんです。それと必ず行ったのが振魂といって、両手を臍の前で握り合わせ振るもので、 この時は右手を下に、左手を上にするのですが、右手は言霊で身体、左手は霊を表すとされていま す。「土台(身体)の上に霊を載せる」と言われてましたね。
――船漕ぎ運動と振魂はセットになっていたのでしょうか?
菅沼 そうですね。大先生は船漕ぎ運動三回と振魂を1セットとして3セット行うのが常でした。』
(開祖の横顔 14人の直弟子が語る合気道創始者・植芝盛平の言葉と姿 月刊秘伝編集部/編P27-28から引用)
これによると、まず柔軟体操が30分。そして船漕ぎ運動(天之鳥船)三回と振魂を1セットとして3セットが通常メニューだろう。天の鳥船と振魂をどの位の時間やったのかはわからない。だが、二つの禊だけに絞っていることで、いかにこの二つが精選された運動なのかわかる。
出口王仁三郎も言っているように初心者は、天の鳥船だけ何時間、振魂だけ何時間もやってみることが必要なのだろう。それだけできる体力が一朝一夕にはつかないのだろうが。それにしても人間は、肉体あってなんぼである。肉体は土台、霊で活動。霊主体従。