◎デーメーテール讃歌
古代ギリシアのエレウシスの密儀については、ルドルフ・シュタイナーが盛んに言及している。表向きは、毎年の農産物の豊穣を祈願する儀式だ。そこで、いろいろ調べてみたが、密儀参加者は、秘密保持を条件に密儀参加が義務づけられていたことから、エレウシスの密儀そのものがどのように行われていたかは、定かでないことがわかった。
しかしエレウシスの密儀発祥の神話とされるホメーロスのデーメーテール讃歌のモチーフが、非常に古事記と共通するところがあるのが気になる。
デーメーテール讃歌の粗筋:
『豊穣の女神デーメーテールの娘ペルセポネが、死者の国、冥界の王ハデスにさらわれてしまった。
母デーメーテールが娘の行方を尋ねて世界中をさまよううちに、地上に五穀が実らなくなった。
デーメーテールは、ペルセポネの行方を知らなかったが、その行方を知るまでは放浪から戻らないと言い張った。
そのため神々の王ゼウスが、ハデスにペルセポネをデーメーテールに帰すように言い、ハデスはそれに同意した。しかしハデスは、こっそりザクロの実をペルセポネに食べさせたため、冥府と完全に縁が切ることができなかった。というのは、死者の国の食べ物を食べた者は、完全に冥府を去ることができないという。
ペルセポネは、デーメーテールとの再会を果たしたが、ザクロの実を食べたばかりに、また冥府に戻らなければならないことを知った。
そこでゼウスは、1年のうち1/3を黄泉の国で暮らし、残り2/3の春から秋までを地上で母デデーメーテールと暮らすという条件で、デーメーテールの怒りを鎮め、地上の穀物の実りを復活させた。』
まず豊穣神デーメーテールが、娘を探して地上をさまよう間に穀物が実らなくなるのは、古事記の天照大神の天の岩戸隠れと似たモチーフである。この問題を解決することを軸にデーメーテール讃歌は展開するが、古事記の冒頭も天の岩戸隠れを軸に話題が進行する。
次に黄泉の国の食物を食べた者が地上に戻れないというのは、黄泉の国のイザナミの命が黄泉の国の食べ物をとったことを理由に地上に戻れないとしたことと同じモチーフである。
天照大神は、主宰神であるが、デーメーテールはそうではないという違いはあるが、エピソードの展開が非常に似通っていることは、両者のモチーフの出所をたどっていくと、共通する何かに出会う可能性がある。つまり、どちらもイデア界つまり、アートマン、第六身体という変わることのない世界の出来事を写しているのではないかということ。
【チャクラと七つの身体-367】
◎アートマン-71
13.その他 ◎エレウシスの密儀の謎
(ザ・ジャンプ・アウト421)
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古代ギリシアのエレウシスの密儀については、ルドルフ・シュタイナーが盛んに言及している。表向きは、毎年の農産物の豊穣を祈願する儀式だ。そこで、いろいろ調べてみたが、密儀参加者は、秘密保持を条件に密儀参加が義務づけられていたことから、エレウシスの密儀そのものがどのように行われていたかは、定かでないことがわかった。
しかしエレウシスの密儀発祥の神話とされるホメーロスのデーメーテール讃歌のモチーフが、非常に古事記と共通するところがあるのが気になる。
デーメーテール讃歌の粗筋:
『豊穣の女神デーメーテールの娘ペルセポネが、死者の国、冥界の王ハデスにさらわれてしまった。
母デーメーテールが娘の行方を尋ねて世界中をさまよううちに、地上に五穀が実らなくなった。
デーメーテールは、ペルセポネの行方を知らなかったが、その行方を知るまでは放浪から戻らないと言い張った。
そのため神々の王ゼウスが、ハデスにペルセポネをデーメーテールに帰すように言い、ハデスはそれに同意した。しかしハデスは、こっそりザクロの実をペルセポネに食べさせたため、冥府と完全に縁が切ることができなかった。というのは、死者の国の食べ物を食べた者は、完全に冥府を去ることができないという。
ペルセポネは、デーメーテールとの再会を果たしたが、ザクロの実を食べたばかりに、また冥府に戻らなければならないことを知った。
そこでゼウスは、1年のうち1/3を黄泉の国で暮らし、残り2/3の春から秋までを地上で母デデーメーテールと暮らすという条件で、デーメーテールの怒りを鎮め、地上の穀物の実りを復活させた。』
まず豊穣神デーメーテールが、娘を探して地上をさまよう間に穀物が実らなくなるのは、古事記の天照大神の天の岩戸隠れと似たモチーフである。この問題を解決することを軸にデーメーテール讃歌は展開するが、古事記の冒頭も天の岩戸隠れを軸に話題が進行する。
次に黄泉の国の食物を食べた者が地上に戻れないというのは、黄泉の国のイザナミの命が黄泉の国の食べ物をとったことを理由に地上に戻れないとしたことと同じモチーフである。
天照大神は、主宰神であるが、デーメーテールはそうではないという違いはあるが、エピソードの展開が非常に似通っていることは、両者のモチーフの出所をたどっていくと、共通する何かに出会う可能性がある。つまり、どちらもイデア界つまり、アートマン、第六身体という変わることのない世界の出来事を写しているのではないかということ。
【チャクラと七つの身体-367】
◎アートマン-71
13.その他 ◎エレウシスの密儀の謎
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