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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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失神

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◎失神して神に出会うのも稀

くしゃみと並んで、失神も原初の光を垣間見るチャンスの一つである。

『失神とESP

私白身が臨死体験につながりうるもの、失神を初めて体験するきっかけになったのはティーンエイジャー時代の悪ふざけだ。

ある日曜日の午後、何をするでもなく、仲間のひとりの家の地下室に皆でたむろしていた。それにしても退屈である。すると誰かが、意識を飛ばしてハイになれるか試してみないかと言いだした。これが受けた。若気の至りである。

仲間が次々と失敗するのを横目に、自分ならもっとうまくやれると内心ほくそ笑んでいた。番が回ってきたので、しゃがみ込み、せわしく呼吸を繰り返す。わざと過呼吸の状態に陥るためだ。唇がしびれて、日がかすんできたところで、ぱっと立ち上がり、口に腕を押し当てて息んだ。飛行機の中で耳抜きをする要領だ。

この方法、脳への血液を見事に止めた。気が遠くなって倒れかかる私を、仲間のひとりが抱一き留めてくれた。

脳に血液が戻ってきた時は、深い眠りの底から浮かび上がるような気がした。初めは、ここはどこ、何があったのという感じだったが、やがてぞくぞくするほど興奮してきた。ブラックアウトの間に幻を見ていたからだ。父が家の前で扉を開け放ったまま、いらいらと私を呼んでいるところである。子どもたちに集合をかけるのは母の役目で、父が自ら呼び立てることなど滅多になかったから、面食らった。

失神自体は恐ろしくも不快でもなかったけれど、父の怖い顔が頭に浮かんできて、家に飛んで帰った。我が家では普段、日曜の夕方から家族で外出することなどなかったのに、家の前まで来ると案の定、待ち構えていた父にとっ捕まって、予定を忘れたのか、おまえのせいでみんな遅刻だと叱られた。

失神している間に父の声を聞いたり姿を見たりすることなど、物理的にできるはずがない。それなのに、私はなぜか、父の呼ぶ声が本当に聞こえたと思った。滅多にない外出だからころっと忘れていたのを、失神している間の何かが引き金となって私に思い出させたのだと納得がいったのは、後のことである』
(死と神秘と夢のボーダーランド/ケヴィン・ネルソン/インターシフトP152-153から引用)

過呼吸は、脳虚血を惹き起こし脳障害になる可能性があるので、こんなことを安易にやってはならないのは、時折マスコミなどで伝えられるとおり。

著者は、この失神で見当識を失ったが、リモートビューイングができた程度で、原初の光、神に出会いはしなかった。

失神で神を見るためには、それぞれのプロセスで精妙に起こったことを感得する感受性が必要なのである。

当たりまえだが、臨死体験の人でも神に出会うのが稀なように、失神して神に出会うのも稀なのである。

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