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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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掛け声と呼吸そしてマントラ

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◎ハンマー投げから羽生結弦のフィギュアスケートまで

ハンマー投げの室伏広治は、ハンマーをより遠くに飛ばすために、まずハンマーを磨くことを始めた。

また掛け声が心理も肉体の状態をも変えることに気がついた。

そして彼は大事な試合の前に独自の呼吸法により、できる限り集中力を高めて本番に臨む呼吸法を実践していた。

それは背筋を真っすぐにしてリラックスして力を抜き、さるポーズで手を組み、意識を丹田に持っていくというもの(詳しくは『ゾーンの入り方/室伏広治/集英社新書』)。

眼目は、そのポーズで、いきなりゾーンに入れるかということなのだろうと思うが、それこそ選手控室の喧騒の中やフィールドで自分の順番を待っている時に平常心でこのルーティーンに取り組み、このポーズに1~3分いることで、ゾーンなるトランスに入れるかどうかは、練習を積む必要があるのだと思う。

練習を積めば、それに入る時間は短縮されるが、深まり具合は人によるのではないか。

室伏広治は、『人は意識をほんの少し変化させたり、意識を別のところに移したりすることで、呼吸も変化し、そして動作も変化するのです。』
(ゾーンの入り方/室伏広治/集英社新書P44から引用)
などと宣う。

冥想修行者にとっては、心理状態が坐相ポスチャーを変化させ、呼吸もそれに応じて変わるのは、いつものこととして自明である。

合気道の開祖植芝盛平は、稽古の前に神事を1時間半もやっていたという。ゾーンなるトランスに入るのは、日々都度都度の冥想の繰り返しによる深まりが先になければ、むづかしいだろう。

2018年2月17日平昌五輪での羽生結弦選手のフィギュアスケート金メダルの演技では、足の痛みをこらえながらやっていた由だが、肉体の痛覚を後退させて、できる限りの演技をするというのも一つの超能力みたいなものである。ゾーンに入らなければ、ああいう演技はできまい。

兵士やスポーツ選手の中にはマントラを用いる人もいる。『南無八幡大菩薩、南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経・・・・』、周りが許さない場合は、心の中で唱え、発声しないマントラもありだ。繰り返し繰り返し念唱する。マントラ・シッディもゾーンだが、その深まり具合が意外な世界を開示してくれることがある。

植芝盛平には著作はない(口述のみ)が、そのゾーンは宇宙そのものであって、試合での勝ち負けなどではない。立ち合った瞬間に勝っているのだ。



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