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文明とは:西郷南洲遺訓

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◎道があまねく行われること

西郷南洲遺訓の西洋文明評。

西郷隆盛は、文明とは道があまねく行われることを称賛する言葉であって、王宮が荘厳だったり、衣服や外見が華麗であることを言うのではないとする。ここに至福千年的世界観が見て取れる。

西郷隆盛がある人に西洋は野蛮と言ったところ、ある人は文明だと頑張った。

西郷の説明は、西洋が本当に文明ならば、未開の国に対して慈愛を本とし懇々と説諭して開明に導くべきであろうが、実際はそうではなくて、未開蒙昧の国に対するほど、むごく残忍な事をして、自国の利益を図るのは野蛮である、と。

当時は大英帝国が最強であった時代で、インドを植民地とし、支那を半植民地にしようとしている頃。

西欧列強が軍事力を背景に後進国を支配下に収めて、パックス・アメリカーナを現出させている状況は、本質的には現代も当時も同じ支配原理であって、『西洋の野蛮』は継続している。

そしてかつて『西洋の野蛮』に倣った大日本帝国が勃興し敗戦となり、同じくいまや中華人民共和国がその野蛮に倣っている。

その国が道を履(ふ)むには、万人が道を行わなければならない。リーダーだけがちゃんとしていても、この価値観ばらばらの時代には、草の根の個々人が道を行わなければ、国が道を行うなどというのは、幻想に過ぎない。

スーパー・リーダー待望ではなく、まず自分が日々の冥想を。それが起きる準備はしておくものだろう。

原文は以下。
『文明とは道の普く行わるるを賛称せる言にして、宮室の荘厳、衣服の美麗、外観の浮華を言うには非ず。

世人の唱うる所、何が文明やら、何が野蛮やら些(ち)っとも分からぬぞ。
予嘗(かつ)て或人と議論せしこと有り。

西洋は野蛮じゃと云いしかば、否文明ぞと争う。

否野蛮じゃと畳みかけしに、何とてそれ程に申すにやと推せしゆえ、実に文明ならば、未開の国に対しなば、慈愛を本とし、懇々説諭して開明に導くべきに、左は無くして、未開蒙昧の国に対する程、むごく残忍の事を致し、己を利するは野蛮じゃと申せしかば、その人口を莟(つぼ)めて言無かりきとて笑われける。』

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