Quantcast
Channel: アヴァンギャルド精神世界
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3535

喪服の白から黒への転換

$
0
0
◎おざなりな明治政府の施策

韓流ドラマや中国ドラマを見ると葬礼シーンでは、全員が白を着用しているのを見て、おやおや日本文化は中国、朝鮮伝来ではないのかいと違和感を感じることがある。

明治政府は、天皇家の宗教も仏教から神道へ廃仏毀釈などの流れで半ば強制的に変更させたのだが、皇族の葬礼についてももともと決まりは持っていなかった。

当時庶民の喪服は白だったが、明治30年の英昭皇太后(孝明天皇の女御にして明治天皇の嫡母)の葬礼から、洋風の黒喪章を左肩や左腕につけることと定め、これが喪服は黒になった始まりと言われる(天皇と葬儀/井上亮/新潮社P263)

光は善、闇は悪、白は善、黒は悪みたいな漠然とした印象を持つことがあるのだが、それは世界の宗教シーンでは一般的な見方である。

だが死のとらえ方が、白なのか黒なのかというのは、その社会の世界観の反映である。

死を黒と見るのは、死を忌避する近代西欧文明に特有の心性であり、日本は明治後期からこの仲間入りをして今に至る。

死を白と見るのは、死と親和的あるいは神仏と親和的な東洋的心性特徴である。それは最終ステージで自分を容易に棄てられるということにつながってくる。

現代中国は無神論である共産主義。李朝の儒教社会から出た朝鮮は、50年の日本統治時代の後、儒仏道に加えキリスト教、カルトの混在する混乱した状況が今にも続き、北朝鮮は無神論。

そうした中国、朝鮮が白喪服の伝統を変えないというのは、庶民の現実の見方、神仏への見方が、本来日本と底流は共通しているというところは、面白いと思う。

宗教の分類について一神教だ多神教だと、ためにするが如き議論はあるが、人間にとっての神仏への肌感覚はこの辺にあるのではないかとおもう。

それにしても明治政府は、いろいろなことをやり過ぎて悪影響を様々に残している。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3535

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>