◎茶の湯の極意
上林竹庵は、宇治茶の元締めの一人であったようで、利休からも良い茶葉を送ってくれなど依頼されていた。
ある日利休一行が上林竹庵の茶のもてなしを受けることになった。
ところが、茶の大宗匠を迎えたプレッシャーで、竹庵の手は震え、茶杓は滑り落ち、茶筅は倒れるなどさんざんなものに終わった。
これを見て招待客達は、目を見かわし笑っていたが、茶会が終わるやいなや、利休は「本日のお点前は天下一である」として賞賛した。
帰り道で、利休の門弟たちは、この賞賛をなじった。利休はそれに答えるに、竹庵は点前を見せるために招待したわけでなく、ただ一服の茶を振る舞いたいと思って招いたわけである。ただ湯が沸いているうちに一服の茶を点てようと、怪我、あやまちを顧みず、一心に茶を点て、おもてなしの心を見せてくれたことに感じいったのだと。
南方録で、茶の湯の極意を問われた利休は、「夏はいかにも涼しいように、冬はいかにも暖かいように、炭は湯が沸くように置き、茶は飲み加減のよいように点てる」と答えた。
質問者は、「そんなことは誰でも承知している」と憤然とすると、利休は、「それならそのようにやって見せてください」と返した。
善いことをする、悪いことをしない、それが仏教の極意であることは皆知っているが、そのとおりできる人は稀である。
諸悪莫作
衆善奉行
自浄其意
是諸仏教
二人の美人弟子が別々の時刻に全く同じお点前で、茶を点てたが、一人はよしとされ、一人はダメ出しされた。
上林竹庵は、宇治茶の元締めの一人であったようで、利休からも良い茶葉を送ってくれなど依頼されていた。
ある日利休一行が上林竹庵の茶のもてなしを受けることになった。
ところが、茶の大宗匠を迎えたプレッシャーで、竹庵の手は震え、茶杓は滑り落ち、茶筅は倒れるなどさんざんなものに終わった。
これを見て招待客達は、目を見かわし笑っていたが、茶会が終わるやいなや、利休は「本日のお点前は天下一である」として賞賛した。
帰り道で、利休の門弟たちは、この賞賛をなじった。利休はそれに答えるに、竹庵は点前を見せるために招待したわけでなく、ただ一服の茶を振る舞いたいと思って招いたわけである。ただ湯が沸いているうちに一服の茶を点てようと、怪我、あやまちを顧みず、一心に茶を点て、おもてなしの心を見せてくれたことに感じいったのだと。
南方録で、茶の湯の極意を問われた利休は、「夏はいかにも涼しいように、冬はいかにも暖かいように、炭は湯が沸くように置き、茶は飲み加減のよいように点てる」と答えた。
質問者は、「そんなことは誰でも承知している」と憤然とすると、利休は、「それならそのようにやって見せてください」と返した。
善いことをする、悪いことをしない、それが仏教の極意であることは皆知っているが、そのとおりできる人は稀である。
諸悪莫作
衆善奉行
自浄其意
是諸仏教
二人の美人弟子が別々の時刻に全く同じお点前で、茶を点てたが、一人はよしとされ、一人はダメ出しされた。