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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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殉教者ペルペトゥアのチーズ

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◎殉教者フェリチタスとともに

3世紀初めの殉教者ペルペトゥアのことは、ユングの本で読んでいた。後にイスラムの殉教者の刑執行時の反応がとても似ているのに気づき、その一方でそこまでの受苦を迫られなければならないものかと、人間の使命と幸福、運命について様々に思い巡らせることになったものだった。

カルタゴにおいて、彼女と同時にフェリチタスも同時に殉教した。ペルペトゥアは貴族出身であったのに対し、フェリチタスは、奴隷。

フェリチタスは既婚であって、懐妊中だったので、出産を待って刑執行となる決まりだった。彼女は早産となり、激しい痛みに苦しんだ。これを見た牢番は、その苦しみ様では、これから野獣の中に放り込まれるときはとても痛みに耐えらまいと彼女を揶揄する。

しかし、フェリチタスは、「処刑で獣に放り込まれるときには、別の方がわたしの中で苦しんでくれるでしょう。私の苦しむのはその方のためだから」と揺るがぬ信仰を披歴したという。

彼女たちは、満員の群衆の集う闘技場に引き出され、そこには豹や熊や猛る雌牛がいたのだが、最初は鞭で打たれ、雌牛の角に突き上げられ、最後は刑吏に切り殺された。

ここまでされなければならないのか。こういうのを釈迦が見れば、鞭の影を見て悟るのは上根などと言うのだろうと思った。

ペルペトゥアは、青銅の梯子を天まで登り、羊の乳を搾る一人の羊飼と出会ったが、それはイエスだった。彼女は、そこでフレッシュ・チーズを食べ、輝く白い服を着た群衆が「アーメン」と唱えたところで目が覚めた。

このイエスの賜物がパンとワインでなく、チーズだったのは後に教会内で物議をかもしたという。
(チーズと文明/ポール・キンステッド/築地書館P162)

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