◎カルロス・カスタネダのシリーズ
カルロス・カスタネダのシリーズは、全部で12冊。
シリーズ最初の「呪術師と私-ドン・ファンの教え」は、品薄だったのか、私が大学生の頃は既に手に入らず仕舞いだった。12冊が1972年から2002年にかけ30年にわたり出版されたわけだが、読み手の方も学生から中年社会人となり、読み取るアングルも変わっていった。
何しろ学生の頃は、トナール、ナワールの定義が当時の自分の頭ではうまく概念づけができず、読めば読むほど非常に混乱させられる本であったことは事実である。だが、今読めば、場面場面で思い当たることは多い。ペヨーテ・サボテンなどの向精神性薬物の服用量が非常に多いことには驚かされるが、古代インド・イラン時代のソーマという薬物を神と崇める当時と同じ宗教形態であろうことは、想像できる。
また、主客合一、主神である「イーグル」あるいは「無限」と合一した立場で書かれる部分はないが、師匠であるドン・ファン・マトゥスの悟境は、真正なものであることが随所にうかがわれる。
ドン・ファン・マトゥスは、思考停止において人間は特殊な意識状態で活動できるのだが、これを内的沈黙と呼んだ。これを世界を止めるとも呼ぶ。
内的沈黙は蓄積されるのだが、そのような内的沈黙の活動がスタートするには、修行者は破壊点を必要とする。破壊点の後、神と共に生きる形に世界は再構成される印象がある。
「内的沈黙は蓄積される」とは、いかにも聖胎長養を思わせる言葉である。
ドン・ファンは、師匠である覚者であり、禅匠のように当然に少なくとも一人の後継覚者を打ち出さねばならない。実はそれが、彼の最大のテーマである。一方カルロス・カスタネダにとっても、神知ること、すなわち覚醒が、その生における最大のテーマであり、ついには崖から飛び込む。
またカルロス・カスタネダは、ドン・ファンから与えられた課題を達成するために、ある固定した姿勢からアストラル・トリップを敢行し、見事達成してみせる。
ヤキ・インディアンの呪術のテクニカル・タームに、神も、アストラル・トリップも、『悟った弟子一箇半箇を打ち出す』などという表現もないのだが、わかる人にはわかるのではないか。
カルロス・カスタネダのシリーズ:12冊
呪術師と私 ドン・ファンの教え
呪術の実践 古代メキシコ・シャーマンの知恵
夢見の技法─超意識への飛翔
沈黙の力 意識の処女地
意識への回帰─内からの炎
呪術と夢見 イーグルの贈り物
呪術の彼方へ 力の第二の環
呪師に成る イクストランへの旅
呪術の体験 分離したリアリティー
無限の本質 呪術師との訣別
未知の次元
時の輪
カルロス・カスタネダのシリーズは、全部で12冊。
シリーズ最初の「呪術師と私-ドン・ファンの教え」は、品薄だったのか、私が大学生の頃は既に手に入らず仕舞いだった。12冊が1972年から2002年にかけ30年にわたり出版されたわけだが、読み手の方も学生から中年社会人となり、読み取るアングルも変わっていった。
何しろ学生の頃は、トナール、ナワールの定義が当時の自分の頭ではうまく概念づけができず、読めば読むほど非常に混乱させられる本であったことは事実である。だが、今読めば、場面場面で思い当たることは多い。ペヨーテ・サボテンなどの向精神性薬物の服用量が非常に多いことには驚かされるが、古代インド・イラン時代のソーマという薬物を神と崇める当時と同じ宗教形態であろうことは、想像できる。
また、主客合一、主神である「イーグル」あるいは「無限」と合一した立場で書かれる部分はないが、師匠であるドン・ファン・マトゥスの悟境は、真正なものであることが随所にうかがわれる。
ドン・ファン・マトゥスは、思考停止において人間は特殊な意識状態で活動できるのだが、これを内的沈黙と呼んだ。これを世界を止めるとも呼ぶ。
内的沈黙は蓄積されるのだが、そのような内的沈黙の活動がスタートするには、修行者は破壊点を必要とする。破壊点の後、神と共に生きる形に世界は再構成される印象がある。
「内的沈黙は蓄積される」とは、いかにも聖胎長養を思わせる言葉である。
ドン・ファンは、師匠である覚者であり、禅匠のように当然に少なくとも一人の後継覚者を打ち出さねばならない。実はそれが、彼の最大のテーマである。一方カルロス・カスタネダにとっても、神知ること、すなわち覚醒が、その生における最大のテーマであり、ついには崖から飛び込む。
またカルロス・カスタネダは、ドン・ファンから与えられた課題を達成するために、ある固定した姿勢からアストラル・トリップを敢行し、見事達成してみせる。
ヤキ・インディアンの呪術のテクニカル・タームに、神も、アストラル・トリップも、『悟った弟子一箇半箇を打ち出す』などという表現もないのだが、わかる人にはわかるのではないか。
カルロス・カスタネダのシリーズ:12冊
呪術師と私 ドン・ファンの教え
呪術の実践 古代メキシコ・シャーマンの知恵
夢見の技法─超意識への飛翔
沈黙の力 意識の処女地
意識への回帰─内からの炎
呪術と夢見 イーグルの贈り物
呪術の彼方へ 力の第二の環
呪師に成る イクストランへの旅
呪術の体験 分離したリアリティー
無限の本質 呪術師との訣別
未知の次元
時の輪