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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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ドン・ファンの法統の継承

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◎系統の連続性が失われる危機

ドン・ファンは、カスタネダに、かつて三角関係だった二人の女性を何とか捜し出して、できる限りのプレゼントをして、過去と訣別することを勧めた。彼女たちとは別れて何年にもなるが、金のなかった時代に彼の生活を助けてくれたのだ。

カスタネダが「なぜそんなことをさせるのか」と問うと、ドンファンは次の説明をする。
『この任務の成功はお前にとってよりも、わしにとって大きな意味をもつ。
仮に失敗したとしても、おまえが失うものは少ない。そうだろう、いったい何を失うというんだ?わしを訪ねてこられなくなるだけだ。そりゃ一大事かもしれん。

だが、わしはおまえを失うんだぞ。わしにとってそれは、わしの系統の連続性が失われるか、あるいはおまえが金の鍵でもって系統を閉じる可能性がなくなるか、そのどちらかを意味するのだ。』
(無限の本質 呪術師との訣別/カルロス・カスタネダ/P164から引用)

これは、ヤキ・インディアンのソーマ・ヨーガの法統の継承の話。禅でいえば、授記(天童如浄⇒道元)みたいな。むかしは、悟りの証明である印可は、受ける側の立場からすれば何の意味もないなどと考えていたが、与える側の覚者にとっては、常にその覚醒を誰かに継承させるというのは、のっぴきならないテーマであることが、このドン・ファン・マトゥスの説明でもわかる。

ヤキ・インディアンの薬物覚醒、ソーマ・ヨーガとは、ラリって現実認識をなくし、夢の世界を大真面目に活動するだけに見えるかもしれないが、思い切り正統的な神と人とのコンタクトの体系なのだ。

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