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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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七つの身体-ケン・ウィルバーの俯瞰

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◎悟りと迷いの混在

ケン・ウィルバーは、著書アートマンプロジェクトで、自分の「近似的な自己感覚10段階」を、ヴェーダンタや、カバラの十球や、スイスの心理学者ジャン・ピアジェの発達段階説、フロムやリースマンの自我のタイプ説、仏教唯識説などと並行に比較した表を作っている。スタニスラフ・グロフは、LSDを用いたセラピーで知られる。これは後に非合法化され貴重な実験となった。図はその一部に七つの身体軸を加えてみたもの。

これをみると、ピアジェなどの説には、アートマンとブラフマンの窮極の段階がない。窮極の段階がない体系は、それが心理体系だろうが存在体系だろうが不完全なものだが、それを排斥せず、堂々と載せているところにケン・ウィルバーの懐の深さを感じさせる。

ケン・ウィルバーは懐が深かったゆえに、その説のインパクトは薄れ、今逆にあまり評価する人が少ないのだろう。また窮極の段階を持たない学説は、宗教的には不完全なものだが、心理学者は、別に問題だとも思っていないのだろう。

覚者の側からすれば、窮極を悟った人も、それに至らず迷いにある人も差はない。だが、世の人々の大半である迷いにいる人が、道元の言う修証一如(修行も悟りも同じ)と嘯くのは、間違いである。

ケン・ウィルバーは、覚者として、迷いの学説と悟りに至っている説を並置したのだ。迷いの学説をも評価したのだ。だが、学会や世間にそのような「悟りや迷い」という視点は乏しい。


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