◎無知な者は知らない
『無知な者は知らないことだが、富のためおろかになる人は多い。世の中には金持もいるし貧乏人もいる。貧しい者をとがめてはならない。
フィティング一族のところで、以前私は、みちみちた穀倉を見かけた。今この一族は乞食の杖をひいている。富というものは束の間になくなり、最もあてにならない友である。
財産もいつかはなくなり、親族もいつかは死ぬ。お前自身もいつかは世を去るのだ。だが、すぐれた人のかちえた名声は決して消えない。
財産もいつかはなくなり、親族もいつかは死ぬ。お前自身もいつかは世を去るのだ。だが決して死なないものを私はひとつ知っている。それは、死者をめぐる後世の評判だ。
おろか者は、財産か女の愛を手に入れようものなら、すぐに思いあがり、鼻を高くするが、分別は前と変わりがない。』
(筑摩世界文学大系 10 [中世文学集] エッダ 筑摩書房P22から引用)
小学生の時にこれを読んだ時は、文字通り人間は、名誉、世間の風聞を第一に生きるものかと考えさせられたものだ。そうなるとまず、大人になったら世俗の成功、富、財産、社会的地位を求めるべきかなどと考えるのだが、このオーディンの箴言に言っている「決して死なないもの」は、そのような世俗のものではない。
それは、オーディンが片目と引き換えに得た智恵であり、彼自身に我が身を犠牲に捧げて、誰もどんな根から生えているか知らぬ樹の枝に9日間逆さにぶら下がって得たもののことである。
『無知な者は知らないことだが、富のためおろかになる人は多い。世の中には金持もいるし貧乏人もいる。貧しい者をとがめてはならない。
フィティング一族のところで、以前私は、みちみちた穀倉を見かけた。今この一族は乞食の杖をひいている。富というものは束の間になくなり、最もあてにならない友である。
財産もいつかはなくなり、親族もいつかは死ぬ。お前自身もいつかは世を去るのだ。だが、すぐれた人のかちえた名声は決して消えない。
財産もいつかはなくなり、親族もいつかは死ぬ。お前自身もいつかは世を去るのだ。だが決して死なないものを私はひとつ知っている。それは、死者をめぐる後世の評判だ。
おろか者は、財産か女の愛を手に入れようものなら、すぐに思いあがり、鼻を高くするが、分別は前と変わりがない。』
(筑摩世界文学大系 10 [中世文学集] エッダ 筑摩書房P22から引用)
小学生の時にこれを読んだ時は、文字通り人間は、名誉、世間の風聞を第一に生きるものかと考えさせられたものだ。そうなるとまず、大人になったら世俗の成功、富、財産、社会的地位を求めるべきかなどと考えるのだが、このオーディンの箴言に言っている「決して死なないもの」は、そのような世俗のものではない。
それは、オーディンが片目と引き換えに得た智恵であり、彼自身に我が身を犠牲に捧げて、誰もどんな根から生えているか知らぬ樹の枝に9日間逆さにぶら下がって得たもののことである。