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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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猫と個人主義

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◎日本的個人主義の本格的目覚め

欧米ドラマでは、ピンチや別れなどの山場になると必ず「愛している」と云う。日本人なら絶対に言わないこのせりふを、臆面もなく云う西洋人の感覚は謎だった。
欧米ドラマでは、女も一人で生き、子供を作った後でも普通に離婚し、一人で子育てをして、老後は一人で死ぬ覚悟が出来ているというのが、実に通常の風景として登場してくる。単に女が強いということではなく、男は当然だが、西洋では女でも一人で生き一人で死んでいくことが当たり前の精神世界に生きているのだ。そうした厳しい個々人の間の架け橋が「愛している」なのだろう。

さて、この頃テレビドラマでもテレビ・コマーシャルでも画面に猫が短時間登場することが非常に多い。

これは、日本の個人主義は、これまで中途半端だったが、ようやく万人の表層意識に上るようになってきたという証左。日本人は表面はともかく内実は無神論者がほとんどである。明治の個人主義導入より100年を経てようやく西洋流のライフ・スタイルの孕む『孤独』の苦痛と不安と憎しみと怒りを『猫』という神秘と愛らしさの形で皆が感得するところまで発達してきたわけだ。

猫は愛玩動物であって、人間が養わないと生きていけないが、その性は個人主義である。

夏目漱石の「吾輩は猫である」は中学生向けに書き下ろしたわけではないが、日本人の個人主義的ライフスタイルを評価するとなぜか猫にそのシンボルを求めがちという事だろうと思う。

不幸にしてそれは、国民全体の貧困化と、薬物依存、ギャンブル依存、スマホ・ネット・ゲーム依存などのプチ廃人化の浸透を伴って起きて来た。覚醒に進むか廃人に進むか、すべての日本人にとっていよいよ正念場である。


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