Quantcast
Channel: アヴァンギャルド精神世界
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3535

ハイチのゾンビ-2

$
0
0
◎あちこちにゾンビ生成の技術が伝わっている

最近見たゾンビ映画は、ワールド・ウォーZだが、爆発的な感染力で人間がゾンビに変化して人類の存亡を危うくするという基本線は、バイオハザードなどと一緒。

以下の引用文は神経毒によって人工的に自発性を欠いた能動的意思なき奴隷を作り出すというものだが、実はインターネット・ゲーム依存症、スマホ依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症などのあらゆる依存症こそ人間が自発性を失っていくという自覚なしに自発性を失っていく「神経毒」のようなものであるとも考えられる。

依存症は安定志向する心性がある多くの人が陥りがちな罠である。安心、安全、安定した生活は、役人ならずとも平和的情緒の市民なら誰もが願うところである。ところがそれがあらゆる依存症の温床になり、その温床は、ゲーム業界、IT業界、パチンコ業界、麻薬業界などのあらゆるビッグビジネスの隆盛によって日々下支えされている。これらの産業はゾンビ生成の技術群とも言える。

そのシンボリックなエビデンスが、歩きスマホする人だが、これを毎日我々は目撃しているのだ。

そこで「実はわたしはゾンビなのだ」などと話しかけられても驚くにあたるまい。

『ハイチのゾンビ-1』は、通常の死におけるゾンビ召喚であるが、以下は神経毒を用いたゾンビの人工的生成の説明である。

『ゾンビの誕生

しかし実際のところ、人に呼ばれたくらいで死体がよみがえるはずがない。この話は無学な農民たちの言い伝えに過ぎない。本来ゾンビとは、嫌われ者に対する制裁だそうだ。もちろんハイチにも刑法はあるが、ゾンビは刑法とは無関係の伝統的な制裁の一つである。

まずフグ毒・テトロドトキシンを主成分とする毒薬(通称「ゾンビ・パウダー」) が嫌われ者の傷口にすりこまれる。神経毒であるテトロドトキシンは心筋や呼吸中枢の活動を抑制し、仮死状態をつくりだす。医者も欺かれ死亡診断書を書いてしまう。そして毒の量がちょうど良いと薬と施術によって蘇生されるのだ(毒薬の量が多すぎると本当に死んでしまう)。

しかし1~2日間という長い間無呼吸状態だったため脳の前頭葉は死んでいる。自発的意志のない人問、ゾンビの誕生だ。この状態のまま死ぬまで奴隷として働かされるのである。

この毒の起源はナイジェリアの小数民族でニジェール川デルタ地帯に住んでいたエフィク人やカラバル人が使っていたものらしい。毒物に対する知識が進んでいた西アフリカ社会では伝統的な司法機関によって毒が用いられていた。その知識が奴隷たちによって持ち込まれたのだ。

一方土葬が中心であったヨーロッパには、埋葬したはずの死者が墓の中から甦るといった伝説や迷信が数多く伝えられていた。またよみがえった死者は生者を襲ってその生き血をすするとも信じられていた。

この両者を結び付け、「ゾンビ=甦る死人」というイメージを定着させたのが、映画監督ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ三部作』である。
残念ながらハリウッド映画に出てくるような「不死の化け物」はいない。だがゾンビが興味深い存在なのは間違いない。

いまもハイチでは「マーケットでゾンビをみた」「私は実はゾンビだ」といった類の話は本当に多い。「あいつらは塩に弱い」といった俗信もひろく知られている。だが広く環カリブ世界一帯に黒人奴隷が運ばれたことを鑑みると、ハイチ一国にとどまらず、あちこちにゾンビ生成の技術が伝わっていると考えるのが普通ではないだろうか。

例えばジャマイカの「ダピー (duppy ,dupy)」はゾンビと同じものだと考えられるし、ブラジルには(カズンビ(cazumbi)と呼ばれる神霊がいるそうだ。』
(ヴードゥー大全/檀原照和/夏目書房P59から引用)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3535

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>