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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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真床覆衾(まどこおふすま)

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◎日本書紀と霊がかり

天皇践祚に伴って、その即位後の秋に一回だけ行われる大嘗祭で行われる儀式の中に真床覆衾が出てくる。

これについて、昭和3年に折口信夫が真床覆衾、天皇霊継承説を唱え、「大嘗祭の核心は天皇を天皇たらしめる根源的な威力である天皇霊を新しい天皇が大嘗祭でふとんにくるまって身につけられる秘密の儀式である」という妙な説を唱え、なんだかこれが世の中の定説になっている。この布団のことが、真床覆衾(まどこおふすま)

この大嘗祭の内容は秘中の秘で明らかにはされていない。だが、真偽の程は定かでないが、漏れ伝わるところによれば、天皇は殿中で三つの儀式を行なうとされる。それが以下だそうだ。

 一、「霊水沐浴」。白い帷子(天羽衣)をきて水風呂に浸かり、浴槽の中で着ている物を脱ぎ去る。
 二、「神人共食」。その年、悠紀田と主基田から取れた米を神と共に食する。
 三、「御衾秘儀」。衣に包まれ眠る(物忌をされる=ヨーガでいう死体のポーズか?)。
 この三つである。

これには天皇霊なるものが天皇の肉体に入ることによって天皇になるというような思想が見え、とても霊がかり的である。もともと天皇と神は、同殿同床というのがあったにもかかわらずである。

日本書紀には、天孫ニニギのミコトが、高千穂の峯に降臨された時にそのボディを包んでいたのが、真床覆衾として出て来る。一方古事記には真床覆衾は出て来ない。
日本書紀編纂時の日本の権力者筋がその権力の正統性を後付で証明するために、天孫ニニギのミコトの権威でもって裏付けようとしたという一つの推理はあり得るのではないか。

何しろ出口王仁三郎は、これに言及するのは不敬罪であったせいか、践祚後の大嘗祭にはほとんど言及がない。出口王仁三郎の基本は、古事記は評価するが、日本書紀は一顧だにしていないのである。真床覆衾はそういうくらいのものなのだろう。



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