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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた

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◎技術の復興と精神文明の復興

「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた/ルイス・ダートネル/河出書房新社」は、いわゆるサバイバルものとは一線を画している。というのは、過去のサバイバルものは、その地域を抜け出せば外部には文明世界が広がっていることを前提としていたのに対し、本書では、文明そのものが崩壊した際に技術そのものをどの程度再生できるかの可能性が考証されているからである。

まず文明の破壊が徹底的なものになればなるほど、人間の生存率は下がる。人間の生存率が下がれば下がるほど、材料を集めて加工していく人手は少なくなり、文明再生のスピードはぐっと遅くなる。文明の破壊度が一定の水準を越えれば、原始時代に戻るしかないというのは、本当にそのとおりだと想像されるのだ。元の原始に返るかしである。

過去何度かノアの箱舟クラスの大規模洪水が地球を覆ったらしいが、その都度前の文明の技術による生産財は喪失し、技術者も生存できなかったことから、山にいる無学な農業従事者みたいな人ばかり残ったとは、プラトンの昔から言われていることである。要するに世界的な文明破壊的な大惨事の後には従前の文明は残って来なかったのだ。

この本では、食料、水、衣服、建築材料、エネルギー、医薬品などの分野に分けて復興の可能性を検討する。

こうして大災害後は、様々な技術がそれぞれまちまちなスピードで復興していく。それはそうだろう。でもそこには欠けている視点があるのではないか。

人間は、核を持った20世紀以降核戦争へ邁進して、ついには核戦争の引き金を引き、無数の無辜の住民を生きながら巨大な電子レンジに入れるが如き惨禍を広汎に引き起こし、ついには文明の大破壊となり、生き残った者は稀少であって、ほとんど原始レベルの生活となった。

その惨劇に至った原因と反省から出てくるものは、まず人は神とともに生き、神と共に生きることである。聖性を喪失した技術だけが発展した先には必ず世界戦争がある。技術文明だけ復興の可能性を探っても再び大量破壊兵器の開発により、人類は自滅の道をたどるだろう。

今まさに必要とされるのは、冥想による人間復興の技術の方だと確信する。

そして、原始時代に戻らない程度に人間の生存率が一定水準以上となるかどうか、そして重要な技術のうちどれがどの程度残るかは神のみぞ知る。


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