◎器物で神意を問う
ハイリヒ・ハラーの著書「チベットの七年」(P362)の中に1950年末ダライラマがラサを去る決断をした時の占断方法が描かれている。中共軍は既に首都ラサの東方数百キロに迫っている。
40年前に先代のダライラマ13世のときもラサを去ってから事態が好転したので、今回もその決断を占いに委ねて神意を量る。
ポタラ宮内で、未成人のダライラマと摂政の前で、ツァンパ(バター入り麦こがし)の玉が二つ丸められた。それを二つとも同じ重量になるまで黄金の天秤で量る。そして二つの紙片のそれぞれに諾、否と書き、それをツァンパの玉に丸め込む。
この二つの玉を国営予言者ネーチュンが抱える黄金の盃に入れる。ネーチュンは、例の何十キロもの冠をかぶって神がかりの舞踏を舞い、そのトランスの中で、黄金の盃を回す。盃の回転は次第に早くなり、ツァンパの玉の一つが飛び出した。
その玉の中には諾の字があり、ダライラマ14世はラサを去ることに決した。
西欧風の多数決の議会では、国事を多数決で決する。これに対して宗教国家では神意を伺って決する。21世紀の今、現代人は肉体で神意を感知する能力を有するはずであるから、このような器物でもって神意を問う必要は本来ないはずなのだが。
ハイリヒ・ハラーの著書「チベットの七年」(P362)の中に1950年末ダライラマがラサを去る決断をした時の占断方法が描かれている。中共軍は既に首都ラサの東方数百キロに迫っている。
40年前に先代のダライラマ13世のときもラサを去ってから事態が好転したので、今回もその決断を占いに委ねて神意を量る。
ポタラ宮内で、未成人のダライラマと摂政の前で、ツァンパ(バター入り麦こがし)の玉が二つ丸められた。それを二つとも同じ重量になるまで黄金の天秤で量る。そして二つの紙片のそれぞれに諾、否と書き、それをツァンパの玉に丸め込む。
この二つの玉を国営予言者ネーチュンが抱える黄金の盃に入れる。ネーチュンは、例の何十キロもの冠をかぶって神がかりの舞踏を舞い、そのトランスの中で、黄金の盃を回す。盃の回転は次第に早くなり、ツァンパの玉の一つが飛び出した。
その玉の中には諾の字があり、ダライラマ14世はラサを去ることに決した。
西欧風の多数決の議会では、国事を多数決で決する。これに対して宗教国家では神意を伺って決する。21世紀の今、現代人は肉体で神意を感知する能力を有するはずであるから、このような器物でもって神意を問う必要は本来ないはずなのだが。