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映画『空海』1984

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◎虚しく往きて実ちて帰る

映画『空海』は、弘法大師空海入定1150年を記念して1984年に制作された映画。この映画は、空海の一代記であって、時の真言宗の即身成仏観や曼荼羅観が出ていて面白い。

なお映画『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』は、長安を舞台に化け猫と空海が対決するというファンタジー映画であって、求道ものではない。

空海の入定が3月21日であって、この季節に映画『空海』を拝見するのは、高野山を参拝した時のことなど思い起こされて、非常に興味深いものであった。

平城天皇、藤原薬子の乱でがたがたしている時代に、最澄が一足先に時の仏教エスタブリッシュメント奈良を捨て、伽藍もなかった比叡山に入り、遅れて空海は、最初から修験で虚空蔵求聞持法にて唐留学の準備のため、山に入り、運よく唐上陸を成し遂げた。

野球のイチローは、一歩一歩積み重ねしかなかったが、空海は、晩年の恵果大師と出会い、805年5月から8月の3か月で伝法阿闍梨位の灌頂を受け、急速に密教の奥義伝授は完了、以後数か月かけて、恵果一門が空海帰国時に持ち帰る経典法具の制作に入る。

中国が外国企業に対し企業秘密の知的財産を中国企業に渡すことを強要していることをアメリカが批判しているこの時代。今なら無償で宗教の奥義秘密を伝授するなど、ありえない?(金で伝授できる?誰にでも伝授できる?)が、わずか35年後の840年には唐で仏教弾圧があり、禅も密教もダメになることを見越してのことだっただろう。

単に仏教東漸とか、気前の良い和尚の大盤振る舞いとは思えない。

密教には、稀に政権有力者が覚者と結びついて、その後の国家地域を安定させる動きをする場合があるのだが、チベット仏教王としてダライラマの成立や、元のフビライとパスパ師の関係などと比肩できるのが空海の件なのだろうと思う。

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