◎枯木寒巌に倚(よ)る 三冬暖気無し
鳩摩羅什(くまらじゅう、クマーラジーヴァ、344年 - 413年)は、西域の仏教の盛んな亀茲国(クチャ)に貴族として生まれた。前秦の呂光が亀茲国を攻略、鳩摩羅什は彼の捕虜となった。
この際、鳩摩羅什は亀茲国の王女と一緒に密室に閉じ込められ、女犯の戒をいつまで犯さないでいられるかをテストされた。結局、彼女の魅力に抗し得なかったのか、彼は禁を冒し、関係を持ってしまった。これは、仏教教団追放の罪に値する。
ものの本には、後に彼が長安で訳経僧として大きな業績を挙げた動機は、この時の事件による悔恨が大きいなどと書いてあったりする。
さて禅の公案集碧巌録に婆子焼庵(ばすしょうあん)という公案がある。
昔、一人のおばさんがいた。さる禅僧を庵に住まわして二十年間供養していた。
いつも16歳の娘を遣って食事など身の回りのお世話をさせていた。ある日、娘に因果を含め、僧に抱きつかせて「こんな時、私をどうしてくれるの。」と言わせた。
その時、禅僧は次のように答えました。
「あなたがそんな風にいきなり私に抱きついても、私は、真冬の暖気のない岩に枯木が寄りかかっているようなもので、ぜんぜん熱くなっていない。」
娘は、このいきさつをおばさんに報告をしました。
おばさんは、「私は、二十年間も、こんな単なる俗物に供養し続けてきたのか。」と烈火の如く怒り、直ちに禅僧を庵から追い出し、庵を焼いてしまった。
この公案を鳩摩羅什の女犯の件と並べてみるとよくわかる。
人間の成熟度に応じて、人生場裡には大きな事件が起きてくるものだが、準備ができていなければ、『大悟覚醒』は起こらない。その点を抜きにして密室や二人きりの部屋でセックスをするのが善いとか悪いとかを平板に論ずることはできない。
たとえ冥想修行者にとって女犯戒は世界的に共通であったとしても。
鳩摩羅什(くまらじゅう、クマーラジーヴァ、344年 - 413年)は、西域の仏教の盛んな亀茲国(クチャ)に貴族として生まれた。前秦の呂光が亀茲国を攻略、鳩摩羅什は彼の捕虜となった。
この際、鳩摩羅什は亀茲国の王女と一緒に密室に閉じ込められ、女犯の戒をいつまで犯さないでいられるかをテストされた。結局、彼女の魅力に抗し得なかったのか、彼は禁を冒し、関係を持ってしまった。これは、仏教教団追放の罪に値する。
ものの本には、後に彼が長安で訳経僧として大きな業績を挙げた動機は、この時の事件による悔恨が大きいなどと書いてあったりする。
さて禅の公案集碧巌録に婆子焼庵(ばすしょうあん)という公案がある。
昔、一人のおばさんがいた。さる禅僧を庵に住まわして二十年間供養していた。
いつも16歳の娘を遣って食事など身の回りのお世話をさせていた。ある日、娘に因果を含め、僧に抱きつかせて「こんな時、私をどうしてくれるの。」と言わせた。
その時、禅僧は次のように答えました。
「あなたがそんな風にいきなり私に抱きついても、私は、真冬の暖気のない岩に枯木が寄りかかっているようなもので、ぜんぜん熱くなっていない。」
娘は、このいきさつをおばさんに報告をしました。
おばさんは、「私は、二十年間も、こんな単なる俗物に供養し続けてきたのか。」と烈火の如く怒り、直ちに禅僧を庵から追い出し、庵を焼いてしまった。
この公案を鳩摩羅什の女犯の件と並べてみるとよくわかる。
人間の成熟度に応じて、人生場裡には大きな事件が起きてくるものだが、準備ができていなければ、『大悟覚醒』は起こらない。その点を抜きにして密室や二人きりの部屋でセックスをするのが善いとか悪いとかを平板に論ずることはできない。
たとえ冥想修行者にとって女犯戒は世界的に共通であったとしても。