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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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叡知の城に至る12の門-3

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上のものが下に降り

「叡知の城」に至る12の門の9から12。これは、最終段階の12番目が、有=アートマンで終わるのか、無=ニルヴァーナで終わるのかをまず見てとる。
また西洋錬金術では、インド風に大悟覚醒後に人間としてこの世に戻らないのか、日本風にこの世に戻るのかを弁別せねばならない。
そしてこうした密教系の技術には、必ずあの世的な力と技術で人間を助けるという絶対の鉄則があることも忘れてはならない。

『「発酵」・・・酵母菌によりパンが発酵するように、金属が時間を掛けて発酵する。
「高揚」・・・金属の性質が高められる。
「増殖」・・・質を高められた金属が増える。金変成が行なわれなくても、その量を増す事が出来れば、 同じ経済的な効果を生むために、重要な操作と見なされていた。
「投入」・・・赤い石を投げ入れて、短時間のうちに金変成を行なう。』
(図説錬金術 / 吉村正和/ 河出書房新社P12から引用)

※金変成とは人間の完成のこと。

9.「発酵」・・・既に聖胎長養にて、時間、空間、物質を変成できる可能性は見ており、超能力も発現しているが、今一度黄金を地に蒔いて水を与え、改めて黄金を収穫する作業をせねばならない。この段階に最後の審判も含まれるのではないか。

10. 「高揚」・・・これがニルヴァーナなのだろう。

11. 「増殖」・・・上のものが下に降り、人間として戻っていく。これぞ神の側から見れば「増殖」である。

12.「投入」・・・人間世界に戻って来た人間は、再誕したキリストとして、キリストを増やすべくこの世に「投入」される。やがて世界はキリストだらけとなり、至福千年が実現する。

12段で全プロセスを論じるのは禅の十牛図と同様に厳格なものだ。覚醒の喜びに満ち溢れて注釈や偈をつけ始めて行ったが、一生の終りまでに自分が最終ステップまで行かなかったことに気づく人もいて、気づかなかった人もいるだろう。
それでもいつかの転生でわかる時節があるだろうと、キリスト教の異端チェックをしのぎながら、図版や暗号めいた韻文で真理を伝えようとしたヘルメスの末裔たちの努力は尊い。

だが、中国煉丹と同様に、西洋錬金術も9割方は、厳密に言えば未悟者のテキストであり、それらしいテキストだからといって何でも参考にするわけにはいかない。その点で、覚者、正師のお墨付きは重要なものだ。

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