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Channel: アヴァンギャルド精神世界
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老子、戦争を悪(にく)む

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◎一人のできることは多寡がしれているが

老子は只管打坐タイプの覚者だが、戦争への言及が多い。その一つ『大意:道を以って君主を補佐する者は、軍事力で天下を牛耳らない。軍事力には弊害が多い。戦争が発生した場所は荒廃し、大きな戦争があった後は、必ず飢饉不作の凶年となる。』

『書き下し:
道を以って人主を佐(たす)くる者は、兵を以って天下に強いず。その事は還るを好む。師の処(お)る所は、荊棘(けいきょく)焉(ここ)に生じ、大軍の後は、必ず凶年あり。(老子道徳経第三十章)』。

今般のロシアのウクライナ侵攻の特徴は、世界の人々が居ながらにして、戦争とは、罪のない人々が家を失い、財産を失い、職業を失い、家庭を切り裂かれ、命までも失うものであることを知ったこと。かつては従軍記者でもなければ、そうした戦場の現実に日々新たに触れることはなかったが、SNSに残虐行為画像が刻々と次々に上げられる事態は、戦争プロパガンダの効果を半減させている。

老子は戦勝しても大喜びすべきではないと戒めているが、誠にこのような戦争の現実を知れば当然のことである。
戦後、特に敗戦国は戦争をすべきでなかったと考え、その原因を平和であった戦前に求める。

ところが、自国が中立を唱えたから他国に攻め込まれるものではないという訳でもないし、相手国を侵略しないと平和宣言したから平和のままでいられるというものでもないことはウクライナが示した。

同様に、日本のように一方的に戦争放棄をしたからと言って、中国、ロシア、韓国が領土を奪いに来ないということでもない。

老子は、徹底した軍備不要論者であるが、今の時代にまだそれは通用するまい。出口王仁三郎は、至福千年の時代には、武装解除はされるが、軍備は廃止しないと見通している。

昔の映画『ザ・デイ・アフター』のように敵味方双方の二つの大都市を核攻撃し合うシーン、さらにダンテス・ダイジが幻視した全世界に向けて水爆搭載の大陸間弾道弾が無数にほぼ同時に打ちあがる全面核戦争シーン。それらは起こらずに世界の全面武装解除に向かうのか、起こってしまって人口激減して後に世界の全面武装解除に向かうのかは知らない。

そういう時代には、天変地異はつきものだが、人間一人のできることはたかが知れている。善いことをして、悪いことをしない。そして冥想を。

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