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古代インドのアートマン、ブラフマン-2

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◎創造されたことのないブラフマン

インドラの師匠プラジャー・パティ(創造主)は次のように語る。
『この肉身は死すべきものであり、死に捉えられている。しかし、それはこの不死で肉身のないアートマンの住処である。肉身を具えた者は実に好悪の二者によって捉えられている。肉身を具えている以上、好悪の二者を絶滅することは不可能である。しかし肉身のない者には、好悪の二者も触れることはない。

〔二〕風は肉身のない者である。雲、稲妻、雷鳴など、これらの者も肉身を持たない。あたかもこれらの者があの虚空から上昇して、最高の光明に到達し、それぞれの形で出現するように、

〔三〕まさにそのとおりに、完全な心の平静はこの肉身から上昇して、最高の光明に達し、自己の姿で出現する。彼は最高のプルシャで、彼はそこで食べ、遊び、女ども、車駕の類あるいは親類の者たちと戯れて歩き回り、付属物である肉身のことを思い出すことはない。彼はあたかも牛車が車に繋がれているように、まさしく生気(感官とその機能)はこの肉身に繋がれているのだ。

〔四〕さて眼が空処(アートマンの住処としての心臓内の空処)に注がれている場合、それが眼のプルシャである。(感官としての)眼は見るためだけのものである。つぎに『わたしはそれを嗅ごう』と意識する者、それがアートマンである。(感官としての)鼻は嗅ぐためだけのものである。

また『わたしはそれを喋ろう』と意識する者、それがアートマンである。(機能としての)言語は喋るためにあるにすぎない。また『自分はそれを聴こう』と意識する者、それがアートマンである。(感官としての)耳は聴くためだけにあるものである。

次に『自分はそれを考えよう』と意識する者、それがアートマンである。(思考機能としての)意識はアートマンの神的な眼である。この神的な眼である。この神的な眼である意識によって、それはその欲望の対象を見て、満足する。

〔六〕ブラフマンの世界にいる人々は、このアートマンを神として尊崇する。従って、彼らは一切の世界と一切の欲望を掌中に収める。このアートマンを見出して認識する者は、一切の世界と一切の欲望を達成する。』
(世界古典文学全集/ヴェーダ・アヴェスター/チャンドーグヤ・ウパニシャッドP229-230から引用)
※プルシャ:神の個的反映、現れ。神の子。

肉身があるから好悪、好き嫌いがあるとは、最初にこれを読んだ時は、何の抵抗もなく読んでいたが、好悪を取り除くことこそ大悟覚醒、この文ではアートマンからブラフマンに至るクリティカル・ポイントであるとは気がつきにくい。

ここではアートマンに至るためには肉体を離脱せねばならないし、肉体を離脱すれば好悪も去ることができるとする。(この肉体離脱はアストラル・トリップではなくクンダリーニ上昇の秘儀。)

さらに『完全な心の平静はこの肉身から上昇して、最高の光明に達し、自己の姿で出現する。』とあるが、『完全な心の平静』とは平静な心理のことを言っているのではなく、自意識のことを言っている。最高の光明はブラフマン=中心太陽のことだろうか。この自意識は、神人の自意識である。

それに引き続いて、五感や行動の根源がアートマン(世界全体、宇宙全体)であるというひっかけ質問のような記述が続く。神人の自意識ならさもありなむ。

最後の〔六〕もトラップ的記述。『一切の世界と一切の欲望を掌中に収める。』ことはできるかもしれないが、そういうことは恣意を残したままでは起こらず、天機天意に従っている場合にのみ起こるのではないか。

その上、ブラフマン(第七身体)とアートマン(第六身体)の関係について『ブラフマンの世界にいる人々は、このアートマンを神として尊崇する。』などと、ますます混乱させることが書いてある。

精神世界の手練れが何千年にもわたって輩出され続けてきたインドだからこそ、こうした非常に誤解を招きやすい記述を出してすら、真理の法統は連綿として絶えることがなかったと言うべきだろう。

だからこの文章の後にこんな文も置かれている。

『余は、黒いものから斑色のものに逃避し、斑色のものから黒いものに逃避する。馬が(抜けたたてがみの)毛を振るい落とすように、悪を振るい落とし、月がラーフ(月を欠かせる悪魔)の口から逃れるように、余は肉身を振り払うて、自己を確立した余は、創造されたことのないブラフマンの世界に赴くのだ。赴くのだ。』
(上掲書/チャンドーグヤ・ウパニシャッドP230から引用)

アートマンとブラフマンの関係でいえば、ブラフマンは創造されたことがないのだから関係を超絶していると見るべきだろう。

神が神を神している世界。

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