◎長月-◎牛を忘るる
うしかひ草は十牛図の和製12段版。うしかひ草のアートマン相当部分は以下。
『牛を忘るる
長月なかば、あれたるのべのつゆしげきにて、 ててらのすそをそぼちつつ、家ぢはるかに、ゆくほどに、袖ややさむき、かざしぐれに、うらがれの、山べはるばるのどけしや。谷の音などききなれて、こゑおかしく、一ふし、えならずうそぶきなどしけるほどに、やまびこもこたヘぬ。
とかくしてゆくほど、ひもくれつかたに、月のひがしにほの見ゆるも、おもしろからぬかは。
こころぞやすきいはぬべかめるなど、いひて、木のはかつしく、みちしばに、おもふところなくふしぬ。
かれのこる草ばにつゆしも、いたくおきて、虫の音、かごとがましく、すだきあへる頃ぞ、夜さむの風もわたるなり。
はらひはて心にかかるくももなし
月かげたかき みやまべのあき
なにとなくうちぬるあきののらなれば
よさむのかぜのおとばかりする』
旧暦9月半ば、荒れ野の野辺の露繁く、ふんどしのすそを濡らしながら、帰宅の家路を遥かに行くと、袖もやや寒い風時雨に枝先の枯れた木々の山辺ははるばるとのどかなことである。
音も工夫して、気張って口笛など吹いてみたら、山彦も答えた。
このようにしていくうちに、日も暮れようとする時分、月の東に仄かに見えるのも面白からぬはずはない。
安心したなどと言いそうだなんて言って、木の葉散り敷く道の芝に、考えることもなく寝入った。
枯れ残る草葉に露や霜がかなり降りて、虫の音うるさく、鳴き合う頃だが、夜寒の風も渡っている。
既に心に掛かる雲もなく晴れ渡っている。秋の野良には牛の声もなく、夜寒の風の音ばかりすることである。
【チャクラと七つの身体-340】
◎アートマン-44
6.禅 ◎うしかひ草のアートマン
(ザ・ジャンプ・アウト394)
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うしかひ草は十牛図の和製12段版。うしかひ草のアートマン相当部分は以下。
『牛を忘るる
長月なかば、あれたるのべのつゆしげきにて、 ててらのすそをそぼちつつ、家ぢはるかに、ゆくほどに、袖ややさむき、かざしぐれに、うらがれの、山べはるばるのどけしや。谷の音などききなれて、こゑおかしく、一ふし、えならずうそぶきなどしけるほどに、やまびこもこたヘぬ。
とかくしてゆくほど、ひもくれつかたに、月のひがしにほの見ゆるも、おもしろからぬかは。
こころぞやすきいはぬべかめるなど、いひて、木のはかつしく、みちしばに、おもふところなくふしぬ。
かれのこる草ばにつゆしも、いたくおきて、虫の音、かごとがましく、すだきあへる頃ぞ、夜さむの風もわたるなり。
はらひはて心にかかるくももなし
月かげたかき みやまべのあき
なにとなくうちぬるあきののらなれば
よさむのかぜのおとばかりする』
旧暦9月半ば、荒れ野の野辺の露繁く、ふんどしのすそを濡らしながら、帰宅の家路を遥かに行くと、袖もやや寒い風時雨に枝先の枯れた木々の山辺ははるばるとのどかなことである。
音も工夫して、気張って口笛など吹いてみたら、山彦も答えた。
このようにしていくうちに、日も暮れようとする時分、月の東に仄かに見えるのも面白からぬはずはない。
安心したなどと言いそうだなんて言って、木の葉散り敷く道の芝に、考えることもなく寝入った。
枯れ残る草葉に露や霜がかなり降りて、虫の音うるさく、鳴き合う頃だが、夜寒の風も渡っている。
既に心に掛かる雲もなく晴れ渡っている。秋の野良には牛の声もなく、夜寒の風の音ばかりすることである。
【チャクラと七つの身体-340】
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(ザ・ジャンプ・アウト394)

