老成子が超能力を習う

◎現象の変化は生死と同列

道教の修行者である老成子が、尹文先生に超能力を教えて下さいと弟子入りした。

ところが３年間尹文先生に仕えたのに何も教えてくれなかった。
そこで老成子が「わたくしに問題があるのであれば、
こちらを辞去したい」と尹文先生に申し出た。

すると尹文先生が、人払いをして老成子に言うには、「昔、老子が西に行くときに、私に告げたのは、「生命の根源のパワーも目に見える現象もことごとく幻である」と。

造化の始まるところのもの或いは陰陽が変ずるところのものを生と言ったり、死と言ったりする。

数的法則に則って形状が次々に変化していくもののことを化と呼んだり幻と呼んだりする。

造物者の仕業は巧妙でパワフルであって、全体像を捉えることは簡単ではない。造物者に比べると形を変えていくだけのものは、その結果が明らかではあるが、底が浅い。そういうものは現れたかと思うとたちまち消えてしまう。

そこで幻も化も生死と異なることはないという実感を持って初めて超能力（幻）を学ぶべき状態となる。

ところで、あなたも私も幻だから、改めて学ぶも学ばないだろう」と。

これは列子の周穆王篇にある話。スケベ根性をもったままで超能力を習得しようなどということは夢にも考えてはならない。

悟りとは何か