◎貧乏無罪
中国の明代の大政治家、徐階が故郷に帰ったとき、親類縁者、友人知人を集めて大宴会を開催した。
その際に参加者の一人が、金の杯を帽子の中に隠した。これをたまたま徐階が見ていたが、素知らぬ顔をしていた。この人がしこたま酩酊して、帰途転んで水たまりに突っ込んだが、この時帽子と金杯を落とした。ところが、徐階はそれを拾って彼の袖の中にそっと入れてやり、以後そのことを誰にも洩らさなかった。
中国では、こうした逸話にときどき出くわす。管鮑の交わりもその一つで、これも貧乏な管仲の方がズルをして、事業のパートナーの鮑叔より沢山上がりを持って行ったが、豊かだった鮑叔は文句を言わなかったというもの。
いわば、貧乏無罪みたいなもの。日本でもこうしたことはないとは思わないが、中国の方がいろいろな意味で生活が追い込まれる程度が厳しいということだろうと思う。
中国では権力者同士の権力闘争も、日本でいえば暴力団同士の抗争みたいに実力行使をするらしい。中国人の内的緊張感は当然に高いが、日本人のそれとは繊細さの点で質的に異なるだろうと推測される。
中国の明代の大政治家、徐階が故郷に帰ったとき、親類縁者、友人知人を集めて大宴会を開催した。
その際に参加者の一人が、金の杯を帽子の中に隠した。これをたまたま徐階が見ていたが、素知らぬ顔をしていた。この人がしこたま酩酊して、帰途転んで水たまりに突っ込んだが、この時帽子と金杯を落とした。ところが、徐階はそれを拾って彼の袖の中にそっと入れてやり、以後そのことを誰にも洩らさなかった。
中国では、こうした逸話にときどき出くわす。管鮑の交わりもその一つで、これも貧乏な管仲の方がズルをして、事業のパートナーの鮑叔より沢山上がりを持って行ったが、豊かだった鮑叔は文句を言わなかったというもの。
いわば、貧乏無罪みたいなもの。日本でもこうしたことはないとは思わないが、中国の方がいろいろな意味で生活が追い込まれる程度が厳しいということだろうと思う。
中国では権力者同士の権力闘争も、日本でいえば暴力団同士の抗争みたいに実力行使をするらしい。中国人の内的緊張感は当然に高いが、日本人のそれとは繊細さの点で質的に異なるだろうと推測される。